『苗プロジェクト』の実りを実感する秋。2012年10月、東北被災地を再訪しました
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東北被災地訪問2012年10月
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2012年10月、東北被災地訪問

東日本大震災以降、むつき庵では、全国の有縁の方々からの募金をお預かりし、被災地へお渡ししてきました。(むつき庵の募金活動はコチラ→

オムツフィッター各氏と支援の在り方を考え、現地で支援活動に尽力されている方を支援する。というひとつの形が見えてきました。

大規模な募金活動は展開しにくくても、細く長く、支援し続けていきたいと願っています。

2012年10月に、宮城県亘理町、南三陸町、福島県いわき市の各被災地、そして山形県大石田町を訪問しました。その一部を、同行した西山即信がご紹介します。(浜田きよ子代表、むつき庵総務・平田亮子さん、作業療法士・小林貴代さん、ボディバランスクリニック院長・池松民朗さん、ケアショップハル・小橋亮介さん)

亘理町(わたりちょう)を訪問

宮城県亘理町社会福祉協議会敷地内の“ほっと”事務所で
亘理ささえあいセンター“ほっと”の事務所内。

 仙台でミニむつき庵『下着とおむつの情報館』を運営されている舘亜美さんの車で、オムツフィッター2級の玉手隆浩さんの職場・亘理町社会福祉協議会を訪問しました。

亘理町は宮城県南部に位置しています。津波で町の48%が浸水した地区です。全国からたくさんのボランティアの方々が参集し支援活動を行いました。

亘理町では津波で2,427棟の家屋が全壊。震災直後から避難所で暮らした人は延べ、171,971人になると言います。

町内の仮設住宅は1,126戸で1,018世帯、3,143人の方が暮らしておられます。

玉手さんら社会福祉協議会の皆さんは、地震翌日の3月12日に公民館の車庫で相談窓口を、19日には災害ボランティアセンターを開設されました。

24日に県外からのボランティアを募集し始め、4月末にはボランティアセンターに登録されたボランティアが767人を数えました。その後、8月にはボランティアセンターが縮小されて体制の再構築があり、9月には『亘理ささえあいセンター“ほっと”』が開設されました。

隣接する福島県ではヘルパーさんらの流出があり、事業所の運営が難しいケースが出ているようです。

そして、近くの亘理町などでは事業者も増加傾向にあるようです。

また、周辺の町の状況も複雑です。

亘理町の南東に位置する角田市では、津波被害はないが、地震で道路が割れたりと言う被害がありました。そして、その角田市の南に位置する丸森町では放射線の線量が高くて困っていると言います。丸森町は宮城県なので東電に対しての請求が思うようにできないなど、生活に大きな負担を強いられていると言います。

玉手さん
玉手さんに亘理町の状況を教えていただきました。

玉手さん
右から、舘さん、玉手さん、浜田代表、平田さん

 亘理ささえあいセンター“ほっと”を訪問

“ほっと”を埋め尽くすボランティアの方々のメッセージ
“ほっと”を埋め尽くすボランティアの方々のメッセージ

亘理町を訪れたボランティアの方々の想いがたくさん詰まった場所にも案内していただきました。

亘理町社会福祉協議会の事務所に隣接するプレハブを事務所にしているのが“ほっと”です。

“ほっと”の公式サイトはコチラ→

 

“ほっと”は、仮設住宅などに入居されている方が安心して生活できるように、生活支援相談員の巡回による安否確認や、イベントなどを通して孤独死・引きこもりの回避を州事業として開設されています。

町内の仮設住宅1,126戸は5カ所に分かれており、7人の職員さんが巡回されます。

主な支援対象になっているのは、仮設住宅に暮らす世帯の中でも、一人暮らし高齢者111人、日中独居110人、高齢者世帯149人、日中高齢者世帯73人、要支援者76人です。

京都や大阪などからもボランティアに参加した男性が、そのまま亘理町に住民票を移して職員として働いておられました。

今年の夏は猛暑で、プレハブではエアコンが効かなかったようです。「それは大変でしたね」と声をかけると「きっと、それに耐えられる人がここに残ったんでしょう」と返されました。“ほっと”で仕事をする信念を感じるひと時でした。

私たちは職員さんが制作した震災直後のビデオを鑑賞する機会に恵まれました。玉手さんは思いがこみ上げてくるので直視できない、とおっしゃいましたが、当時の状況、皆さんのご苦労のいくらかでも私たちが共有することができればと思います。

南三陸町訪問

苗プロジェクトで育った畑
南三陸町馬場中山地区。『苗プロジェクト』で育った畑。

『苗プロジェクト』の畑で。東北大震災以降、むつき庵では、全国の有縁の方々からの募金をお預かりし、被災地への支援をしています。

震災直後にオムツフィッターの方々とともに決めた「支援している人を支援する」という方針のもと今年も、南三陸町馬場中山地区で展開されている『苗プロジェクト』を中心に募金をお渡しすることができました。

馬場中山地区にお住まいの約70世帯が、『苗プロジェクト』の苗やたい肥を使って、野菜を育てておられます。

2012年10月、『苗プロジェクト』を主宰する蛯名隆三さんと南三陸町馬場中山地区を再訪し、同地区のみなさんと再会することもできました。

蛯名さんと浜田代表が支援について話す中で、印象的な事柄がいくつもありました。

浜田きよ子代表から蛯名隆三さんに、『苗プロジェクト』の支援金が手渡された。
浜田きよ子代表から蛯名隆三さんに、
『苗プロジェクト』の支援金が手渡された。

支援のあり方について話す蛯名隆三さん。
支援のあり方について話す蛯名隆三さん。

一行で蛯名さんを囲んで、話しあう。
一行で蛯名さんを囲んで、話しあう。

小林貴代さんと、小橋亮介さん。
小林貴代さんと、小橋亮介さん。

浜田きよ子代表

 私が気を付けていることは、「支援が単なる自己満足にならないように」ということです。
またどんなプロジェクトでも、何か行動したり、何かを持って行ったりすることで、自分たちは気持ち良いのかもしれません。
 でも実は、現地の何かを壊していたり、足を引っ張ったりしている場合も少なくありません。
  「外部の者」が関わる時にはいつもそのことに気を付けていなければ、思いもしないところでその地域の方々の関係などを壊しかねません。そんなことを肝に銘じておきたいと思っています。


蛯名隆三さん

 苗プロジェクトは、たまたま集まってきた資金がある限り、続けます。
 でもそれが終わると自分ではできないので、それで終わりになるでしょう。
 もともと、大義というか、地域のためにやることではないから。農業、食べるのはシンプルなこと。
 自分がたまたま住む場所に畑があり、作る力があり、それでやる。

 それだけのことなので、それ以上のことは求めない。素朴な行為としてやりたい。
 僕は畑を耕し、野菜を育てる事で自分が助けられていくことを知っているので、そこにとどめたい。
 大義を付け始めると、上手くいかなくなったらプロジェクトがとん挫するかもしれないでしょう。

 仮設住宅に住まわれながら、苗プロジェクトの苗を使って畑仕事をされている三浦千代子さんは、苗プロジェクトをやっておばあちゃんたちが生き生きしていると教えてくれました。

 畑があるから野菜を作り、それを周囲におすそ分けをする。そのことで生活に張り合いが生まれる。
 そういうことが大事だと思います。

浜田きよ子代表

『苗プロジェクト』の苗は明日につながることです。
 明日につながることってすごく良いでしょう。
 人は不確かですが、ものは確か。
 その確かなものが一定期間で収穫されて、また次にとつながっていく。

支援が何かを壊すという事例について、私の友人の事例があります。
 この人はインドネシアの小さな村の仕事を作ろうとして事業を興しました。
 最初はとてもうまくいったようにみえました。
 でもそれによって、仕事を得た人、得られなかった人で村が分断されてしまった。

支援が全員に対して良く作用することはあり得ないんです。

思いがけない出会いの大切さ、喜び、その喜びを抱きつつ、一方で、出会えなかった人は放置して良いのか?という問いかけがあるのです。

私はそれを良いとは思っていません。
 だからと言って何もしないのがよいとは思えません。

本音のところ、どうやって関わっていくのが良い方法のか、分からない。でもそうやって揺れながら、関わっていきたいんです。

蛯名隆三さん 

不幸な出来事があった場所に、外部の人があえて関わる。
 隣近所じゃなく、遠方の人が、自分の問題だと思ってやってくる。
 この意識を外して考えてはいけないでしょう。

これがなくなると、支援することが生きがいになる。

前提として、こんな不幸は無い方が良い。

そして、こんな間違った生きがいははやく捨てたほうがよい。

しかし悲しい出来事は起こってしまったので、同時代の人間として何ができるのかを考えるんです。

僕は、必要なモノを必要な場所に、必要な時にと思っている。

その条件が無くなったら、終わり。

そこで終わるのだと決めなければならない。

ただ、そこで生まれた人間関係が、その後に友人になったり恋人になったりするのはそれはそれで素敵なことだと思いますよ。

「食べなさいよ」と、大きな大根を頂く。
「食べなさいよ」と、大きな大根を頂く。

「もう一本持って行きなさいね」と収穫されている。
「もう一本持って行きなさいね」と収穫される。

「これは良い畑だ」と蛯名さん。
「これは良い畑だ」と蛯名さん。

馬場中山地区の様々な場所に、『苗プロジェクト』の畑がある。
馬場中山地区の様々な場所に、『苗プロジェクト』の畑がある。

馬場中山支援センター

『苗プロジェクト』との関わりについて、同プロジェクトの野菜やたい肥を使って畑を作っておられる阿部きくみさんが、震災当初に多くの人が抱いた、畑仕事の重要性について、語って下さいました。

阿部きくみさん

おじいちゃん、おばあちゃんが地震後1月ほど経つと、畑仕事もしてみたいなあ、なんて言い始めました。そしてどこかに芋の苗でもないかな?なんて言っていたんですよ。蛯名さん達がこちらに来てくれて、『苗プロジェクト』がはじまり、苗が来たら皆活気づいた。収穫の有無に関係なく、畑に毎日行くのは健康のバロメーターです。あのころは、毎日畑に行くことに意味があったんですよ――。

むつき庵でも手仕事を伝えたい

また、生活再建の様々な動きのひとつに、「女性の手仕事」があります。

毛糸を使ってキャラクターのぬいぐるみを作ったり、ミサンガを作ったり。

浜田代表は「小さな手仕事が、多くの方の想いを支えていることを知り、むつき庵でもこうした品が多くの人に伝わるように、お手伝いしたいと思います」と話す。

馬場中山支援センター
馬場中山支援センター。

『苗プロジェクト』について話す
『苗プロジェクト』について話す機会を得える。

『苗プロジェクト』について話す蛯名さん
『苗プロジェクト』について話す蛯名さん。

女性たちが作る「ミサンガ」。

阿部きくみさん(写真中央)達、馬場中山地区の80代、50代、40代、30代の女性4人が制作している漁網を使った『ミサンガ』。ホテル観洋、みなさん館、うたちゃんショップなどで販売されています。

ホテル観洋
南三陸直売所・みなさん館
うたちゃんショップ(南三陸町観光協会公式みなみな屋店長きえのつぶやき)

千葉薫さんが販売している「むりくりとらちゃん」。

阿部初恵さんら女性たちが仕上げた南三陸の昆布

馬場中山支援センターのマスコット猫「福福虎次郎」をモデルにした「むりくりとらちゃん」。
同支援センターでボランティアの方々の調整、地区の広報的役割を担っておられる千葉薫さんのネットショップ・馬場中山カオル商店で販売されています。

馬場中山に隣接する枡沢仮設住宅にお住まいの阿部初恵さんは、海岸に上がった昆布を乾燥させて、ボランティアの方々へのプレゼントにされています。セロファンの袋などを浜の女性仲間で用意し、アイロンで圧着するなど手仕事で完成させておられます。「私たちは海で悲しい思いをしたけれど、でも、この昆布もまた、海の恵みですよね」と語られました。

 南三陸町の海岸

1年ぶりの南三陸町だった。復興の足音は聞こえたり聞こえなかったりする。

南三陸町の防災対策庁舎にささげられた想い。
南三陸町の防災対策庁舎にささげられた想い。

南三陸町の防災対策庁舎は、全国から人々が参集する。
防災対策庁舎は全国から人々が参集する。

自衛隊の若い隊員たち。
自衛隊の若い隊員たち。

浜田きよ子代表らも手を合わせる
浜田きよ子代表らも手を合わせる。

すぐ傍の海岸沿いを歩く。
すぐ傍の海岸沿いを歩く。

海岸沿いを歩く。
海岸沿いを歩く。

何もないことを実感する。
何もないことを実感する。

廃墟に圧倒される。
廃墟に圧倒される。

塩害杉は伐採が進んでいた。
塩害杉は伐採が進んでいた。

枡沢仮設住宅集会所で講演会

馬場中山地区に隣接する枡沢仮設住宅の集会所での講演会が阿部初恵さんのお招きで実現しました。仮設にお住まいの皆さんにお集まりいただき、介護・福祉用具の使い方などをお話ししました。

枡沢仮設住宅集会所での講演会
枡沢仮設住宅集会所での講演会

福祉用具の使い方は、誰にとっても新鮮で興味深い。
福祉用具の使い方は、誰にとっても新鮮で興味深い。

助聴器の体験。
助聴器の体験。

小林貴代さんによる体操教室も開催。
小林貴代さんによる体操教室も開催。

皆さんと記念写真。
皆さんと記念写真。

山形県大石田町社会福祉協議会を訪問

山形県大石田町社会福祉協議会で老人身障者指導員をされている田中正信さんのお招きで、同協議会で高齢者の方々を対象にした浜田きよ子代表の講演が行われました。

むつき庵から持参した福祉用具の説明では、参加された皆さんの関心度も高く、使用感を確かめていただくなど有意義な時間となりました。

山形県大石田町社会福祉協議会での講演。
山形県大石田町社会福祉協議会での講演。

浜田きよ子代表の講演。
浜田きよ子代表の講演。

浜田きよ子代表の講演。
浜田きよ子代表の講演。

もしもしフォンは大人気だ。
もしもしフォンは大人気。

小林貴代さんによる骨盤底筋体操教室。
小林貴代さんによる骨盤底筋体操教室。

福島県いわき市を訪問

看護師でオムツフィッター2級の橋なつゑさんのお招きで、福島県いわき市のニチイ学館を訪問しました。職員さんを対象にした講演を行い、紙おむつの当て方など、現場のお困りごとを解決する一助になればと、様々な紙おむつ、パッド類を掲示しながら進行しました。

いわき市のニチイ学館で講演。
いわき市のニチイ学館で講演。

いわき市のニチイ学館。
いわき市のニチイ学館。

館内を案内していただいた。
館内を案内していただきました。

館内はとてもキレイだ。
館内はとてもキレイ。

実習も体験していただいた。
実習も体験していただきました。

池松民朗さん。
同行されたボディバランスクリニック院長・池松民朗氏によるフットケアの講義に、皆さん興味津々でした。 

被災地訪問を振り返って

今年もまた、浜田きよ子代表をはじめ、むつき庵にご縁のある方々とともに被災地を訪問する機会に恵まれました。浜田代表、オムツフィッターのみなさんをはじめ、有縁の方々の導きによって、場所に出遇い、人に出会うことができました。

受け入れていただいた方々に感謝し、この先もまた、共に歩めるようにと思います。

 

本ページの制作:西山即信 監修:浜田きよ子

 

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