遣尿症(いにょうしょう)は、泌尿器系の異常の有無、随意、不随意で分ける。三宅浩史さんとの対談。
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三宅浩史さん×浜田きよ子 対談 『そのモレは失禁じゃなく排尿だ。《遣尿症(いにょうしょう)》を知る』

そのモレは失禁じゃなく排尿だ
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介護の世界では、失禁の定義があいまいなままケアが続く

三宅浩史さん
写真:三宅浩史さん
株式会社リブドゥーコーポレーション ヘルスケア開発マーケティング本部 プロダクト・イノベーション課 課長。
三宅さんは、獣医師/福祉住環境コーディネーター2級/医療環境管理士など様々な顔を持つ。

株式会社リブドゥーコーポレーション

 三宅浩史さん 失禁の問題を考えると、介護の分野では実は失禁の定義があやふやなような気がします。

 治療や介護などの現場でも対応を間違えるケースがあります。本人にも良い影響ではないです。

 そのひとつに、失禁と遣尿がきちんと捉えられていないという事実があります。

 浜田きよ子 「遣尿」という言葉を私は恥ずかしながら、知りませんでした。
 
この言葉を知っている人は少ないですね。

 

遣尿症(いにょうしょう)とは…

 

泌尿器系の異常による漏れが尿失禁。器質的な障害がなく、不適切な場所での漏れは遺尿症。不適切な場所で意図的に排尿を行ったとしたら、それは単なる排尿。身体的に健康な認知症の方が昼間にお漏らししてしまうのは遺尿症。

泌尿器系の異常があるかないか、随意か不随意かで分ける必要があります。それによって対応が異なるはずです。

 

三宅浩史さん 「遣尿症」と言うべきところを「機能性尿失禁」などと呼んだことが間違いのもとです。

 

浜田きよ子 そこで線引きするべきだったのに「失禁のタイプ分け」のなかに機能性尿失禁を入れてしまった。尿が本人の意に反して出てしまうということを定義しながら機能性とか認知機能などを入れたからややこしくなったのでしょう。

それくらい、失禁は分かりにくいものです。

介護施設の夜間のおむつ交換は、厳密には失禁のおむつ交換ではなくて、「他に排尿できる環境がないからしかたなくおむつの中で排尿した」というケースが沢山あります。漏れたんじゃない。排尿しただけなんだ。ということです。

 

もし僕が皆の前で放尿したら、それは失禁なのか

 

 

浜田きよ子三宅浩史さん もし僕が今ここで放尿したら、それは機能性尿失禁になりますね。社会的に、皆がいる前で、するべきではないシチュエーションで排尿した。これは機能性尿失禁。医学的に調べてみたら僕の泌尿器には何の問題もなかった。でも、するべきではない場所で排尿した。これが失禁と定義される。でも本人である僕はそこでしたいからしただけなんですけど…ということです。

 

浜田きよ子 私はずっとこのことにこだわってきました。これは排尿じゃないか。失禁じゃないぞと思うことがたくさんあるんです。

 

三宅浩史さん むつき庵顧問の泌尿器科医・上田朋宏先生がおっしゃっていましたね。「そもそも、漏れって何だ?」。

 

排尿は、漏れではない

 

浜田きよ子 機能性尿失禁だと排尿も漏れになります。

 

三宅浩史さん 介護の現場で言う漏れとは、「おむつから漏れたことなのか。それとも、尿道口から意に反して尿が出た時が漏れなのか?」という問題提起です。

 

浜田きよ子 介護する人にとってはおむつから漏れたことが、漏れだと認識されていることが多いようです。

 

三宅浩史さん 犬が臭いを嗅ぎながらあちこちでするおしっこは頻尿でも失禁でもありません。意図的な排尿です。でも、嬉しい時に漏れる「うれション」は遺尿症です。

 

浜田きよ子 実は便も同じ。下剤を投与して、その結果としておむつの中で便が出ているのは、便失禁ではなくて完全に排便。おならしたはずみにぽろっと出るのとは分けるべき。

 

三宅浩史さん 子どものいわゆるオネショは遺尿症。ただ尿失禁かどうかを鑑別する必要があります。「昼間もお漏らししますか?」という問診で見当をつけるようです。昼間も漏らすのならば尿失禁の可能性があります。

 

浜田きよ子 失禁か遺尿かを判断すること、これは排泄ケアを考えるうえでとても重要なヒントになります。機能性尿失禁のなかにも失禁もあれば遺尿もあります。それを丁寧に分けていくことで、それに対する対応が見えてきます。その意味からも今日は三宅さんからとても重要なことをお教えいただきました。本当に有難うございました。

 

――Fin.

取材メモ:2012年9月、京都に於いて実施。

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