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仕事の原点

私が用具の功罪を知ったのは母の介護を通してです。
もう30年ほど前のことになりますが、母は重い糖尿病で入院していました。
糖尿病は母の身体のあちこちをむしばみ、目は白内障のためにほとんど見えなくなっていました。
それでも母はベッドから下りて自分でトイレに行っていました。
当時の病院のベッドは高くて、足を下ろしても届きません。そのためベッドには踏み台が置かれていました。
ある日、トイレに行こうとした母は上手く踏み台に足が下ろせずに転倒してしまいました。
その日、看護師さんから「もうベッドから下りるのは危ないからおむつで排泄しましょう」と優しく言われました。
母は「おむつだけは嫌だ」と言ったのですが、私もおむつを勧め、母はおむつを当てられました。
私は母が危険な目にあうよりも安全な状態でいるほうが早く回復すると思っていたのです。
その日を境に母は急速に弱っていきました。
ベッドから起き上がらなくなり、食事もほとんど食べなくなりました。
そしておむつと因果関係があったかはともかく、母はそれからひと月後に亡くなりました。69歳でした。
「おむつを使わなければよかった。でもどうすればよかったのか」。
これが私の仕事の原点となり、私はさまざまな用具について情報を収集し、選び方や使い方を学んできました。
何よりこの間に多くの優れた用具が開発されました。
今の私なら、母におむつではない安全な排泄の方法を伝えられると思います。
便利な用具の紹介や、介護の相談、とりわけ排泄介護の相談を受ける中でいろいろと感じること、教えられることがあります。
私も60歳を過ぎた今、母があんなふうに亡くなってしまったのは、おむつだけのせいではないと改めて感じています。
目が不自由になった母には、不自由さを抱えて生きていく暮らしの輪郭が見えなかったのではないかと。
人は元気なときには自分の暮らしのかたちは実感できます。
でも身体が不自由になったときにはそれが見えなくなる。
そんなことに気付きました。
母は不安でいっぱいだったのでしょう。
でも私は母に「優しく介護する」ことしか考えてこなかったし、やってこなかった。 そんな悔いが残りました。
道具は重宝なものですが、それだけで何とかなるものではありません。
何よりその人の生きるかたちは本人の意欲だけではなく、周囲がともに創り出すものです。
そして道具もまた、ケアする人とされる人のあいだにあるものなのです。
 

主な活動

1995年 高齢生活研究所 設立

高齢者の生活を見直し、改善していく活動…説明文

2003年 株式会社はいせつ総合研究所 むつき庵 設立

むつき庵は、介護のなかでも特にはいせつについて考える活動拠点。
おむつフィッター研修ミニむつき庵など、排泄に関する多岐に渡る考察、検証、実施、活動。
詳しくは「むつき庵」のサイトhttps://mutsukian.comをご覧ください。

2014年 おむつフィッター倶楽部 設立

むつき庵「おむつフィッター倶楽部」をご覧ください。

2014年 おむつ検定 実施

むつき庵「おむつ検定」をご覧ください。

主な受賞歴

2005年 「京都府あけぼの賞」受賞

2007年 日本認知症ケア学会「読売認知症ケア賞・奨励賞」受賞

2013年 むつき庵 グッドデザイン賞 受賞

2020年 京都新聞福祉賞 受賞

主な著書、執筆

書籍

○「在宅&病棟でできる!おむつと排泄の看護ケア」メディカ出版
○「在宅医療の排尿管理と排泄ケア」南山堂
○「介護をこえて」NHKブックス
○「介護の常識」講談社
○「老いの技法」 時事通信社
○「排泄ケアが暮らしを変える」ミネルヴァ書房
○「おむつトラブル110番」 株式会社メディカ出版
○「福祉用具で変わる介護のある暮らし」中央法規出版
○「自立を促す排泄ケア・排泄用具活用術」中央法規出版
○「やさしい道具――シニアライフを豊かに過ごす」 ワールドプランニング
○「シニアに便利な生活活グッズ」 晶文社
○「高齢者が使いやすい日用品」 晶文社
○「高齢者の暮らしを支える道具と工夫Q&A おたっしゃ生活応援ガイド」 ミネルヴァ書房
○「家での介護のコツ」 ひかりのくに 監修
○「排泄介護実用百科」 ひかりのくに 監修
○「福祉用具支援論」 財)テクノエイド協会発行 共著
など多数。

新聞紙上での連載

○ 朝日新聞 「お答えします」
○ 毎日新聞 「福祉用具ノート」
○ 讀賣新聞 「福祉用具を考える」
○ 京都新聞 夕刊 「いい品さがし」
○ 京都新聞 夕刊 「現代のことば」
○ 静岡新聞 「おすすめ生活用品」
○ 西日本新聞 「良品ダネ!」
○ 信濃毎日新聞 「お年寄り暮らしいい品」
○ 日本農業新聞 「暮らし安心」
○ 日本シニアリビング新聞 「こんな○○がほしかった」
○ NHK出版 「社会福祉セミナー・福祉用具の選び方と使い方」
○ NHK出版  「おしゃれ工房・転ばぬ先のシニアグッズ」
○ 日本医療企画「かいごの学校・浜田きよ子の「これぞ逸品!」
○ 芳林社「ベターケア・福祉用具が支える介護」
○ 中央法規出版 「おはよう21・福祉用具から排泄を考える」
その他月刊介護保険、シルバー新報、ほか多数

お問合せ

浜田きよ子へのお問合せは、高齢生活研究所にお願いします。

〒602-8123  京都市上京区下立売通黒門西入橋西二町目 648

TEL:075-467-0150 FAX:075-803-1123

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